3エンジン当初、二輪屋”のホンダに、飛行機をつくれるはずがない」というのが、
世間の見方だった。それはそうだろう。
富士重工業やロールスロイスなど、
母体が航空機エンジンメーカーの企業が自動車をつくった例はあっても、
自動車メーカーが航空機をつくった例はかつてない。

また、航空機産業では、機体とエンジンの開発・生産のすみ分けが進んでいる。
ボーイングのような航空機メーカーは、航空機エンジンを生産していない。
ホンダのように両方の開発・生産を手掛ける民間企業は、世界に例がない。
この事実からしても、ホンダはじつに不思議な会社である。

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常識を超える発想と実行力!

しかも、「ホンダなら、本当にやるかもしれない」
という期待を抱かせる何かを持っている。

なぜだろうか。それは、ホンダのDNAともいうべき「夢」への挑戦にあるだろう。

jyetto15

ホンダの不思議は続く。
普通、ジェット機のエンジンは、
左右の主翼の下、ないしは胴体後部左右に搭載されている。

ところが、ホンダジェットは左右主翼の上に

エンジンが搭載されているのだ。

主翼上にセットすれば、乱気流が生じ、

非効率とされる。にもかかわらず、
ホンダは業界の常識を覆した。

不思議なスタイルである。

ジェット10

しかしその結果、

ホンダジェットは、ライバル機に比較して
最大巡航速度は約10%向上の時速778km、
実用上昇限度は約5%向上の約1万3100m、

燃費性能も数値こそ発表されていないが約20%の向上を実現。
客室の広さも、約18%向上の

高さ1.46m、幅1.52m、長さ5.43mであり、
パイロットを含めて7人乗りである。

そのホンダジェットは

今、離陸に向けた秒読み段階に入っているのだ。


さすがアメリカのフロンティア精神!いいものは素直に認める勇気?

ホンダの航空機エンジンに目をつけたのは、GEだった。
GEは大型航空機エンジンは得意としていたが、
小型の航空機エンジンは不得意だった。

ホンダジェット3

ホンダは、世界一のエンジンメーカーである。
二輪、四輪、汎用のエンジンを生産しており、

その生産台数は間違いなく世界トップだ。

しかも、いずれのエンジンも小型であるのが特徴。
新しく開発した航空機エンジンもまた、小型である。

GEのエンジニアは、ホンダのエンジンを見て
「こんなに小型でシンプルなエンジンに、

これほどの性能が出せるのか」
と舌を巻いたという。

いわば、“大”が“小”にひれ伏したのだ。

さらに、GEは、2004年に出資比率50%ずつの合弁会社
エアロ エンジンズ(GEホンダ)を立ち上げた。

記者会見の席上、GEの航空機エンジン製造部門だった
GE トランスポーテーション社長(当時)のカルフーン氏は
記者の質問に次のように答えた。

「われわれにはノウハウがあるが、
ホンダには自前で開発したジェットエンジンがある。

これはベスト・マリッジだ」

*マリッジは結婚指輪のこと。そしてエンゲージは婚約指輪のこと。

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GEホンダ設立によって、ホンダはエンジンの量産化や
FAA(米連邦航空局)認定取得、

販売チャネル確保への道筋をつけたのだった。


ホンダスピリットが、ここにある!

そして、ホンダジェットの実験機を初公開したのは
05年のこと。

翌06年には、事業化を発表した。

ホンダジェットはマイアミのビジネス機ショーに出品され
3日間で100機以上を

受注するという快挙を成し遂げた。
奇跡といっていいだろう。

空飛ぶシビック

ホンダは“ライト級”が得意な企業である。
二輪にルーツをもち、

現在のグローバル市場における競争優位は、
二輪、四輪とも小型エンジンにある。
「カブ」であり、「シビック」だ。

ホンダがホンダジェットで狙うのも、

ビジネスジェットの中で最も小型の
「ベリー・ライト・ジェット」と呼ばれるボリュームゾーンだ。

もとより、搭載されるのも

小型の航空機エンジンである。
いってみれば、

“ライト級”はホンダの得意のフィールドだ。
それだけに、ホンダに十分チャンスがあるといえる。

小型ジェット機の市場は現在急拡大中で、
ホンダは北米、ヨーロッパで

受注活動を行っているが、
今後、ロシア、ブラジル、中国、アジアなどへも

進出を計画している。
また、GEホンダは、

航空機エンジン「HF120」を、機体メーカー向けにも販売する。

ホンダがかつて手掛けたことのない
B2Bビジネスへのチャレンジである。
宗一郎が、飛行機に魅せられてから97年。
ホンダジェットが空を舞う日は目前だ。

これまで巨額の投資が

必要な航空機事業を続けられたのは、

歴代の社長が宗一郎の遺志を引き継ぎ
いつかはHondaマークの飛行機を……
という夢を抱いてきた。

宗一郎1

開発者や歴代社長らが

今、誰よりホンダジェットに乗ってほしいのは

「夢」をくれた宗一郎に違いない。

本田,河島、久米

そして、
2015年には、

自動車レースの最高峰、F1への復帰も宣言した。
覚悟あるホンダのチャレンジは、まだまだ続く。

やってやれないことはない。
やらずにできるわけがない。

まさに、ホンダスピリットが、ここにあるのだ。

それは、この記事を読んで

頂いているあなた自身へのメッセージかもしれない。

私からも僭越ながらこの言葉を送らせてください。

現実が厳しいからこそ
自分の夢を
自分の人生に対するビジョンを
しっかり持つべきだ!

志 高く・・・・・・

雲海