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仲間由紀恵が、
森光子さんの代表作、放浪記を
来年10、11月に
6年ぶりに復活上演することになった。
その森さんの命日の11月10日
京都・上京区の帰白院に
眠る森さんの墓前に
林芙美子役を引き継ぐことを報告した。
仲間のその心境に迫ってみた。
花子とアンで白蓮ブームを起こす

仲間由紀恵にとって
今年は最良の年であったろう。
「花子とアン」で嘉納蓮子役を演じ、
華族のお嬢様らしい上品さの中の
潜む、情愛の本質ぶつけた
白蓮に迫った演技は白蓮ブームを起こした。
役者というのは辛いもので、
有名にやりたいために強烈な人物を
演じて注目されたいと願う。
しかし、当たれば、
そのイメージが付いて回るという
ジレンマが襲う。
仲間もTRICK やごくせんシリーズで
一躍スターに上り詰めたが
一方で何をやってもこの二人の個性から
抜け切らないで
もがいていた時期があった。
まさに、朝ドラで脱皮に成功した印象だ。
そして電撃的結婚。
人気上昇中の結婚はファンからの
祝福ともなる。
朝ドラの成功が結婚を決意させたのだろう。
夫の田中哲司も大河ドラマ、
軍師官兵衛での荒木村重の迫力ある、
いぶし銀の演技で認められ、人気を得た。
これ以上のお膳立てはなかったようだ。
放浪記で女優を開花?
さて、話を森光子さんに戻そう。
仲間は墓前でこう誓ったという。
「森さんの楽屋で『演出家の意見が一番大事』と
いうアドバイスをいただいたのを覚えています。
皆さんのご期待にそえる舞台を作っていきます」
と手を合わせてた。
さらに、
森さんが48年間もの歳月をかけて
大作に育てた放浪記の出演を
所属事務所の尾木徹社長(71)から
聞かされ、
「言葉にならないくらい驚きと不安があった」
と振り返った。
「1人の女性の一生の物語を機会が
あればやりたいと思い続けていた。
林芙美子さんは破天荒で、
私とは似てないので挑戦にもなる」
とも語った。
森さんとは、2005年のNHKドラマ
「ハルとナツ」で共演して以来、
親交を深めてきたようだ。
今年5月放送のスペシャルドラマ
「森光子を生きた女」では
森さんを演じた。
劇中で放浪記の名場面とも言われる
でんぐり返しも披露した。
森さんが国民栄誉賞にまで
上り詰めた大役のプレッシャーにも
「真正面から、死に物狂いでぶつかっていきます」と
覚悟を語った。
また、名場面での演出について
森さんを超える
「4回転半でんぐり返し」の
プランがあることを明かした。
年女、仲間が新たな挑戦の第一歩?
森さんが41歳で初演をし、上演回数2017の
金字塔を打ち立てた放浪記。
来年、年女の36歳になる仲間が
新たな挑戦の第一歩には
弾みがつく。
「私は宿命的な放浪者である。
私は古里を持たない…
したがって旅が古里であった」
の出だしで始まる「放浪記」は
第一次世界大戦後の暗い東京で
飢えと絶望に苦しみながらも、
したたかに生き抜く「私」が主人公。
尽くした「島の男」との初恋にも破れ
夜店商人、セルロイド女工、
カフエの女給などの職を転々とする。
ひどい貧乏にもめげず、
あっけらかんとした姿が多くの読者をひきつけ、
ベストセラーとなった。
物心ついた小学生時代に貧しかった
林芙美子の生い立ち故に
底辺の庶民を慈しむように
描いた作品には名作がある。
しかし、林芙美子にはやっかみもあった。
文壇に登場したころは、
貧乏を売り物にする素人小説家と言われ、
その次は、半年間のパリ滞在を売り物にする
成り上がり小説家と陰口を叩かれ、
シナ事変から太平洋戦争においては、
軍国主義を囃し立てた政府お抱え小説家と
罵られていた。
しかし、戦後の六年間は違ったようだ。
それは、日本人が戦さに
打ちのめされた、悲しみを
ただひたすらに書きつづけていた。
花の命は短くて苦しきことのみ多かりき?
享年47。生前、色紙などに好んで書いた一文。
『花の命は短くて苦しきことのみ多かりき』
まさに波瀾万丈の人生を綴った
奥深い悲しみを見事に表現した。
葬儀委員長の川端康成は、弔辞でこう述べた。
『故人は、文学的生命を保つため、他に対して、
時にはひどいこともしたのでありますが、
しかし、後二、三時間もすれば、
故人は灰となってしまいます。
死は一切の罪悪を消滅させますから、
どうか故人を許して貰いたいと思います』
と・・・・・
孤独で物書きだけを生きがいにした
林芙美子。
森光子がその人生を伝え、
そして、仲間由紀恵が後に続く。
日本人女性の頑張りを
後世に伝えることを切に願いたい。
合掌。