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関西電力高浜原発3、4号機の
運転差し止めを命じた4月の福井地裁仮処分決定
(樋口英明裁判長=当時)を巡る異議審で
24日、関電が申し立てた異議を認め、
仮処分を取り消す決定を出した。
国民不在の裁判劇にこれでいいのか、考えてみた。
高浜3、4号機の再稼働決定?
福井地裁は4月14日の仮処分決定で、
原子力規制委員会の新規制基準について
「適合しても安全性は確保されておらず、
合理性を欠く」などと判断、高浜3、4号機の再稼働を禁じた。
仮処分決定から8カ月余り、
こうして司法判断があっという間に覆った。
関電は25日にも核燃料を原子炉に装着する。
すでに判決の2日前、福井県の西川一誠知事は
県庁で記者会見し、再稼働への同意を表明していた。
こうして新規制基準の審査に合格した原発の再稼働への
知事同意は、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)、
四国電力伊方原発3号機(愛媛県)と
3例目となった。
「お金の問題ではなく、命の問題だ」樋口英明元裁判長はすでに異動?
今回の差し止めを命じた樋口英明元裁判長は
すでに異動していない。
悲惨な福島原発の教訓を生かせるかと
高浜原発は全国から大きな注目を集めていたが・・・。
樋口英明元裁判長は
個人の尊重や幸福、文化的な生活を送る権利
「人格権」に基づいて判断したのだった。
有名になったこのフレーズ。
「多数の人の生存そのものに関わる権利と
電気代の高い低いの問題を
並べて論じるような議論に加わったり、
その議論で当否を判断するのは許されない」「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして
生活していることが国富であり、
(原発事故で)これを取り戻すことができなくなることが、
国富の喪失であると当裁判所は考える」
「お金の問題ではなく、命の問題だ」ということだ。
今回の判決で改めて
「3権分立」を考えてみた。
日本では原発に限らず、
行政が訴えられた裁判(行政訴訟)で
行政が負けることはあまりない。
大きな政策になるほどその傾向は強い。
3権の中でも行政が極めて強い国だということだ。
国民の意見など到底、届かない。
しかし、裁判官が独立性をもって
判断できるとなれば原発が止まることを
身を持って知ったことも事実だ。
だが、無残にも簡単に覆させた。
それでも社会に大きな変化、
大きな議論を起こすことができたのだが・・・
福島事故から4年が経つ。
日本社会は原発なしで動いていたが
政府方針は明確な原発回帰政策をとる。
全ての原発を再稼働させる気でいるから
自然エネルギーを導入できないというわけだ。
まして、電源ミックスで
2030年に原発発電比率を20%以上にするという
方針だから、廃止どころか、
新規の原発建設も必要となる。
思いもよらなかったスピードで
事故前の政策に戻ろうとしている。
原発回帰はもう止められない。
原発に巣食う暗くて深い闇?
ここで、法曹界内部からの変化に
期待したいのだが、これも危うい状態だ。
それは、前樋口裁判長のような
裁判官歴32年の大ベテランにあれば
次は名古屋高裁の右陪席と
いうポジションが一番可能性が高かったが、
なんと、家裁に異動となった。
裁判所の上層部としては、
高裁に行かせたくないという人事だったに
違いない。
いわゆる、左遷なのか?
定年まで3年の裁判官を家裁に送るなんて、
誰が見ても窓際人事だ。
最高裁を頂点とする裁判所は、
政府の歩調に合わせ、原発再稼働の立場を取っている。
その方針に反した樋口氏は、
報復人事を食らった降格人事だ。
原発に巣食う暗くて深い闇があるのか。
それは政治家の利権か?官僚の保身か?
誰もが、政財界の癒着を分かっていながら
声を出せないこの空気は、民主主義国家の崩壊と云えるのだろう。
我々、国民は意見すらいえない。
おりしも、本日、ニュースステーションの
人気キャスターの古舘伊知郎キャスター(61)が、
来年3月いっぱいで番組を降板することが発表された。
「I am not 安倍」発言をした
古賀茂明さんが降板となったり、
原発問題を口にして降格人事にあった
番組司会者やジャーナリストたち。
言論の自由を脅かす危機がひたひたと押し寄せてくるようだ。
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