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毎回、異なる脚本家による1話完結シリーズの「おやじの背中」。
初回こそ、15%を超える好スタートを切ったが、
以後、10%も届くことはなかったが、しかし、9話にしてやっと11.2%を獲得した。
今回は、TBSのドラマ、「とんび」で
どうしようもない不器用な父を演じた内野聖陽と
息子に神木隆之介を配して喧嘩親子の泣き笑いを送る。
とんびといえば、平均視聴率で15%を越え、
最終回は20%を記録した。
誰しも期待するところだ。
プロフィール
内野聖陽(うちのせいよう)
誕生日 1968年9月16日
星座 おとめ座
出身地 神奈川
性別 男
血液型 AB型
身長 177cm
デビュー年 1993年
デビュー作品 街角 (NHKテレビ)
最低のおやじだ?
さっそく、物語を追ってみよう。
就活中の大学生の新城達也(神木隆之介) は、面接中。
私の尊敬している人は、父です.
「理由は?」
父は土木工事部に勤務しておりまして
国内外の大きな橋などの仕事に従事していました。
私が子供の頃は仕事が忙しく、
あまり、家にいることがなく親近感がありませんでしたが、
就職活動を迎えるにあたって
男とし仕事にかけていた父を
尊敬し見習いたいと思っています」
面接官、一斉にペケのサインが走る。
「やっぱり、嘘は見ぬかれるよね。
面接用に受けの良いことを用意しただけ、
本当はおやじなんて、
尊敬していない。
会社人間としては
成功者かもしれないが、
家族としては最低のおやじだから」と、
息子の語りでストーリーが展開していく。
いやはや、のっけからおやじの存在ゼロ?
新城勝 (内野聖陽) は、
業界最大手のゼネコンで
出世街道をひた
走っていたエリート社員。
一方、就活中の達也 は
何処にも内定をもらえず、散々。
父のコネが頼みにと会社に訪問するが、
依願退職したと告げられるところから物語はスタートする。
荒れる家族会議

勝の言い分はこうだ。
早期退職優遇制度の活用や
雇用保険の受給などで
当面の生活には困らないと
その間に再就職先を決めると
いう計画を立てたという。
達也は反感を持っていた。
勝は、尽かさず、
「なんで怒っている。おとうさんの仕事に
興味を持ったことないじゃないかと」
さすがに本音をつかれる
達也も動揺するが、
図星だった。
父は執拗に畳掛ける。
「コネが使えなくなくなった。
自分の望みが叶わなくなった。
だから怒ってるんだ。自分勝手なやつだ」
達也も反論するがお見通しだ。
「見透かしたように追いつめて、
どっちが自分かってなの」
堪りかねて妻(夏川結衣) が反論を開始。
「一体、なにがあったの。
仕事大好きなあなたが
会社を辞めるなんて考えられない」
「ついこないだって白戸大橋、
成功させるんだと言ってたじゃない」
たしかに、専務とそりが合わないから
やめるというなんか変な話だ。
妻はあきれながら話し出した。
職場で仕事と家庭の両立を考え
仕事の昇進を断ってきたというのだった。
「なんで断った」
「あなたや子供に不自由をさせたくないから」
達也は母親の味方だ。
「謝れよ。おやじが仕事で大変だと思うから、
いくら偉そうなこと言われても
我慢して来たんじゃないか」
勝は立ち上がり反撃開始。
「ブランド長、引き受けるんだ。
家事は俺が引き受ける。 家事ぐらい誰でもできる」
と押し切るのだった。
今まで家事を一切やったことがない
夫に全く信用がない。
主夫宣言?
しかし、簡単に思っていた主夫も、
初めての料理、洗濯、近所付き合いは
上手くいかず悪戦苦闘の日々。
このテーマは
脚本家本人が考え過ぎたのか?
自営業とか、職人とかの稼業ならいざ知らず、
ほとんどの時間を会社で
過ごす一般のサラリーマンの
おやじたち。
子供はどうやっておやじの背中をみれるのか?
月曜から金曜までは、
ほとんど顔も合わさず、
話すこともなく成長していく。
休日の思い出も子供自体が、
曖昧で忘れている。
中学、高校になれば、
お互いに生活のリズムも変わり、
向き合って話すことのなくなり、
距離が広がっていく。
気が付いた時は、
生意気な言葉を平気で言う子供に
成長している。
分かり合えないのも無理はないか?
本当におやじの権威はこれほど失墜してしまったのか?と、考えさせるテーマである。
今回、視聴者は冷静に見ていたのか、
共感したらしい。
・今までの中で一番「おやじの背中」らしいストーリーだった。
・親子で就活。リアルだと洒落にならないけど、面白い。
・今回が一番親父の背中と言うテーマに沿った名作。
悪戦苦闘の日々が始まる?
主夫を宣言したからには、
”絶対に泣き言は言わない”と
決意で始めたものの
朝食も作るが味はいまいち。
主婦たちの会話や町内会にはついていけず、
近所付き合いは難しく、
不審な目で見られることに嫌毛もさす。
こうして、主夫になったとたん、
家族中の難問題が吹き上がる。
達也は、そんな父をガールフレンドに愚痴を言うが
相手にされない。
「落ち込んでいる人材なんて会社でもほしくないでしょう」
一方、次男の寛太は学校で演劇の衣装ができてないことを
先生に注意されるが・・・
妻も、
リーダーになることを承諾したが、同僚から出世したことを
なじられ悩みは尽きない。
達也のガールフレンドも
内定が決まり焦っている。
遅く帰宅すると今度は、
おやじの説教が待っていた。
「お前は、小さい時から部活も続かず、
入試でも実力が発揮できなかった。
なぜか、わかるか、
肝心な時に自分を追い込めないからだ。
中途半端なんだ。自分の欠点を自覚しろ」
達也
「会社やめた人に
就活のこと言われてもなにも、
響かないんだよね」
まずいね。まずい。
普段、親身に相談に
乗ってあげていれば、
いいアドバイスではあるが、
いきなりは、まずいね。
バカおやじの典型だね。
主夫の危機が迫る

あくる日、次男の寛太は学校に行きたくないと言い出すが、
達也は庇うつもりが言い合いになる。
無理させることないよ。普段、ちゃんと行ってんだし。
辛辣な息子の言葉は世のおやじは絶対に許せないが・・・
なにかと衝突する親子の姿がここで浮き彫りになってくる。
スーパーでは、
隣の奥さんに辞めた理由を聞かれ、怒りが爆発。
「会社の金を使い込んで、
女子社員を不倫して、社長を殴りました」
と言えば満足ですか?と
敵対してしまう。
「奥さん、働かせておいていい気なもんだ」
世の中とはそういうもんか?
他人の家に土足で
上がってくるというか、
実につめたい。
そんなさなかに寛太は
隣の家のワンピースを
盗んでしまう。
夕暮れ時、公園でたたずむ勝。
妻が帰宅。
妻は、出世して部下から妬まれると
愚痴を言うが、
勝は相手にしない。
「出る杭は打たれる。
妬みとやっかみをどうかわすかは
神経使った。自分で考えろ」
と突き放す。
そんな頃、寛太が盗んでしまったワンピースのことで
隣の奥さんが、
怒鳴りこんできた。
申し訳ないと謝る両親に達也は、反論してしまう。
「寛太だって理由があるかもしれないじゃないの」
隣人は容赦しない。
「理由があるけれど、やっていいことと、
やっていけないことがある。
どういう教育されているの?」
と激怒してしまう。
ごめんなさいがいえない。何をしたか、判っているのか」
すると、達也が吠える。
「おやじ。
偉そうなことが言えんのかよ。
完璧に主夫やるなんていったくせに、
寛太が学校休んでいる日に
公園でビール飲んでいたんだろう。
俺に中途半端なんていっているけど、
おやじはどうなんだよ。
会社辞めて、
適当に主夫やっているおやじこそ、
社会人として
主夫としても中途半端なんだよ」
一線を越えてしまったね。達也。
それをいっちゃおしまいだよ。
寛太のごめんなさいの泣き叫ぶ声に勝の手も止まるが・・・
達也の語りが物悲しい。
「いい過ぎたのはわかってた。
自分でも怒りが抑えられなかった。
俺はどうしてこんなにおやじに
腹が立つんだろう?」
あくる日、バイト先の焼き鳥屋。
ガールフレンドが
おやじの会社の新聞記事を
差し出した。
白戸大橋の設計ミスが発覚した記事だった。
「仕事人間は嫌いなんていっているけど、
お父さんが会社辞めたことに一番、
ショックを受けているの達也じゃない」
すると達也は、
9月中に決まらなかったら、ここでバイトする。
と言い出すが、
大将にきつい一言が返ってくる。
「ごめんだよ。俺はな、
人生掛けて焼き鳥焼いてるんだ。
就活できなかったら
バイトで良いなんていう根性で働いて欲しくない。
帰ってくれ、
一度決めたんだろう、就職が決まるまでくるな」
当たり前だ、
人生を舐めたらいかんぜよ。
達也。
勝は学校へ行って
寛太の事情を聞いてきたようだ。
学芸会での配役が女と言えない
寛太は服を作ってくれと言い出せなっかたのだ。
主夫をいやいや、
やっていると見抜かれていたことが
勝には堪えたようだ。
どうしても自分で服を
作ると言い出すが、
妻は「維持張らないで再就職先、探したら、
本気になれば見つかるわ。
家事なら私がやる」
さすがに図星だ。なにも反論できない。教えてくれなんて言ったことがない勝であったが
スカートの作り方を習うのだった。
ミシン掛けに熱中する勝。
そこに達也が現れる。
「なんで会社、辞めたの?
上の人とそりが会わなったって本当?」
無言の父。
朝が明けた。
やっとスカートが完成した。
喜ぶ寛太に
「これを着て舞台に立て、
女の役だからって恥ずかしがらないでやれ。
大事なのは自分の役を
楽しむ事だ」
学芸会の寛太。大盛況だ。笑いが絶えない。
勝は、何か決心したようだ。
帰り道、達也がしつこく詰問する。
「会社、辞めた本当のこと、話してよ」
「白戸大橋の責任かぶって辞めさせれられたんじゃないのか?
「お前、みたいなガキに話すことじゃない。」
家に帰ってもからも執拗に食い下がる達也。
モップを持って掃除しようとする勝に
「こんなのおやじのやる仕事じゃ、ねいよ。
自分に嘘つくなよ」
とモップを取り上げる。
二人が、掴み合いの
喧嘩になる。
思わず、達也のパンチがおやじに当たる。
掴みかかるおやじ。
そこに妻と寛太が帰って来るが、身を隠し会話を聞いている。
大事にしていた
自慢の橋の写真が
落ちてガラスが割れてしまう。
長い長い、達也の台詞が続く。
「知りたいんだよ。おやじの事。
反抗ばっかりしてたけど、
それは、
どうやったっておやじに叶わないと
思っていたからで
本当は、憧れていたんだよ。
俺の自慢のおやじだったんだよ。
おやじは、
運動会も参観日も
来てくれなかったけれども
友だちのお父さんが
嬉しそうにビデオを撮っていても
全然、うらやましくなかった。
だって、おやじはもっと
凄いものも見ているんだって
誇らしかったから。だから、
おやじがどうやって会社やめたか
知らなかったら、
俺はどうして社会人やっていっていいか。
判んないんだよ。」
勝も負けていない。
「甘えやがって。
お前の調べたとおりだ。
白戸大橋設計ミスの責任追って辞めた。莫大な損失を負った。」
達也が食い下がる。
「そんなのおかしいだろう。スケープゴートじゃないか」
ここから、勝の長い独白が続く。
あまりに切なく、
感情を押し殺すような絞り出すような声に
心を打たれたので、長いがお読みいただきたい。
「そうかもしれない。
誰かが責任を取らなければ収まらなかった。
せめて。あの仕事を終えてから辞めたかった。
悔しくて涙がでた。
周囲の人間も恨んだ。
死にたいとまで思った。」
「主夫になったのは、
もう別の会社で働くエネルギーが
残ってなかったからだ。
空っぽの抜け殻だったからだ。
あまかったよ」
「家事は、スカスカの抜け殻では
出来る仕事じゃなかった。
地味で誰からも褒められない。
毎日、めしを作って洗濯して掃除して
家族が帰ってくるのをひたすら待つ。
嬉しい思いや悲しい思いを
抱えて帰ってくる家族を待つ。
自分でやってみて
それがどれほど忍耐のいる事か?
しかし、大事な仕事なのか、わかった」
「お父さんは、
誰よりも努力して
出世したいと思っていた。
努力できない人間は、
怠慢だと馬鹿にしてきた。
部下が悩んできても、
やる気がないんだと
切り捨ててきた。
なんにも言わず、
待っているの人がいるから努力ができたんだ。
この橋を始めて作った時は、
出世したいとか、
儲けようなんて気持ちは
これっぽっちもなかった。
無数の人間が
この橋を踏んで新しい世界を渡っていく」
そう想像するだけで、ワクワクした。
会社をやめて主夫になって
すっかり
忘れていた気持ちを思い出した。
仕事ってものは
自分のためにやるもんだ。
綺麗ごとじゃ、できない。
それが誰かの役に立った時、
ほんとの心からの
喜びが込み上げるんだ。
「おい、勝負するか。
どっちが先に就職先を見つけるかの勝負だ」
「もう一回自分を試してみたい。
前みたいに家事をお母さんに
任せっぱなしにはしない。
やっと料理の面白さもわかってきた」
「お前は若い、
圧倒的に有利だが、
こっちは年食っている分、
経験と崖っぷちの強さがある。
いい勝負ができそうじゃないか」
「乗ってやってもいいよ」
「じゃ、ゴングだ」
達也にとって
自慢に父が帰って来た。
自信を取り戻したカッコいいおやじだ。
エプロンを着けたおやじに何かを
教えられる日が来るなんて
思っても見なかったが、
俺は絶対にどんなことをしても
この勝負に負けちゃ、
いけないと思っている。
と達也の語りが続く。
おやじのこと、本当にカッコいいと思っている。
こうして話の展開を追っていくと
真実が見えてくる。
生きるって、
辛く、苦しくって、悲しい。
だけど、家族の支えがあるから
やって行けると思える。
今回のおやじの背中。
本当に素晴らしかった。
世のおやじさんたち、もっと子供と話そう。
長くなってごめん。